はじめに

長い間「東京では賃貸が合理的」と決め打ちしていました。家を買ったことで思想が180度変わったわけではありません。数字と生活の両方で、自分の前提が古くなっていたと気づいた、という話です。一般論の代弁ではなく、判断に使った材料を残します。

賃貸派だった理由

  • 転勤・転職の可能性を残したかった
  • 修繕リスクを家主に寄せたかった
  • 頭金と諸費用を、投資や事業に回したかった

いずれも今も有効な理由です。変わったのは、家族構成・勤務形態・金利環境が、当時の自分と重ならなくなったことです。

買う側で見た数字(ざっくり)

机上では次を並べました。

観点賃貸のまま購入
月々のキャッシュ家賃のみローン+管理費+修繕積立
10年後の資産敷金・更新料ローン残高と物件価値
柔軟性高い売却コストがかかる

「家賃は無駄」「持ち家は必ず儲かる」——どちらも自分には当てはまりませんでした。家賃は居住コスト、ローンは資産と固定費の混合、と分けて見る方が冷静でした。

生活面で効いた変化

数字以外で大きかったのは次の2点です。

  1. リノベの自由度 — 在宅勤務の机・照明・収納を、更新のたびに諦めなくてよくなった
  2. 「住む場所」の時間軸 — 3年単位ではなく、10年単位で近所や通勤を考えるようになった

逆に、メンテナンスの頭の片隅が常に占有されるのは負担です。賃貸では意識しなかったエアコン・給湯・雨漏りの話が、自分のToDoに入ってきます。

自分ならどう考えるか

  • 5年以内に住む場所が変わる可能性が高い → 賃貸を選ぶ。自分も以前はここ
  • 在宅比率が高く、住環境への投資が仕事の質に直結する → 購入を検討余地あり
  • レバレッジ目的の投資 → 住宅ローンと混同しない。別口座で考える

おわりに

買って正解、賃貸が正解、ではなく、自分のキャッシュフロー表に1行足しても破綻しないかが最初の関門でした。読者の方は、SNSの勝敗論より、月次の支出と5年後の住所の確度を先に書いてみてください。住宅は思想より、生活設計の問題に近いです。